栄養士8年目、5つの職場を経験して思うこと③
栄養士として、様々な職場を経験し、感じたことをまとめています。
①栄養士 一人or複数(←前回)
②現場orとりまとめ組織(←前回)
③都会or田舎(離島)
④日本or海外
③都会or田舎(離島)
人口の多い都会、人口の少ない離島、それぞれ生活環境も業務内容も大きく異なります。
<都会のメリット>
・研修やイベントに参加しやすい、直接会い繋がりを作ることができる。(今はコロナ禍でオンラインも多くなりましたが)
・食料、道具がなんでも手に入る。
・人材が豊富で栄養士としての仕事に集中できる。
・すぐ近くに栄養士がたくさんいて、一人職場でも他の栄養士と連絡がとりやすい。
・仕事とプライベートがきっちり分けられる。
<都会のデメリット>
・対象者が多様化している(宗教、アレルギー、偏食、、、)
・クレームにつながりやすい
・同じ職場でも関係が希薄(給食現場で調理員さんが委託だと壁を感じやすくなります。)
・他組織との連携をとりにくい。きっちり線引きがされている。
<田舎(離島)のメリット>
・自分も同じ地域で生活するため、栄養課題を把握しやすく、現実的な解決策を見いだせる。
・他組織との連携がとりやすく、いろいろな方向性から課題解決のアプローチができる。
・他職種の仕事が見えやすく、栄養以外の学びが多い。
・地域住民が集まりやすいイベントや場所が多く、栄養啓発の場所や時期を絞りやすい。
<田舎(離島)のデメリット>
・人で不足で一人何役もこなすため、栄養士業務の比重が軽くなる。(私は栄養士としての業務が半分くらいでした)
・入手できる食材、道具が限られているため、提案できる改善策が限られる。
・対面の研修がほぼない(今はオンラインなのではとんど問題はないかと思いますが)
・都会の栄養士と話していると孤独を感じやすい。
・仕事とプライベートの分別をつけにくい。(外を歩けば、必ずと言っていいほど誰かに会います。)
まとめ
大きく違うのはその地域に自分が住むかどうか、でしょうか。その地域に住んで取り組む栄養改善と、客観的な立場からの栄養改善、全く異なり、学ぶことが多かったです。
私は本当にアクセスの悪い離島にいたため娯楽や物の豊かさの制限が多かったですが、自然は豊かで、生活自体を満喫していました。そして「みんなで取り組む栄養改善!」といった雰囲気があり、栄養士以外の協力も大きかったです。
④日本or海外(途上国)
日本での経験がメインで、途上国での経験はまだ半年ほどですが、途上国で栄養士として働く良さや日本への気づきについてまとめます。
<途上国で働く良さ>
・がらりと違う食文化を同僚から学べる。
・栄養に関する基準が少ないので、何を基準をするかゼロから考えられる。
・世界中の資料に触れる機会が増える。
・日本の栄養改善の歴史や制度の素晴らしさに気づく。
<日本の栄養改善・食育の制度の素晴らしさ>
日本で栄養士をやっていた時には、
- 栄養士がいること=当たり前
- 栄養バランスの良い給食を出すこと=当たり前、
- 食育をすること=当たり前、
- 国>県>市区町村できちんと栄養政策が実施されていること=当たり前
- 栄養の基準(食事摂取基準があること)=当たり前
と思っていましたが、これは日本の長い歴史の中で、栄養士制度や学校給食法(現在は食育基本法)が整備されるように、たくさんの人たちが「栄養の重要性」を訴え続けてきたからなんだと初めて気がつきました。
<「栄養士」の存在意義>
途上国には栄養士制度がない国もあります。
私が今働いている国に栄養士制度はありません。人々にとって「栄養」という言葉すら身近ではなく、栄養は健康に欠かせないものという認識が低いように思います。
日本だと、どこの組織でも栄養士の人数は少なく、栄養をメイン事業としているとこは少ないと思いますが、栄養士は病院、保健センター、保育園、学校、介護施設、社員食堂など様々な場所にいます。
人々の身近に栄養の重要性を訴える「栄養士」がいることが、多くの人が「栄養は健康に欠かせないもの」ととらえることができていると感じました。
まとめ
日本で働いていた時は、どこの組織でも栄養の事業は優先度が低く、自分が栄養士であることに自信を持てていませんでしたが、栄養士はとても大事な職業なんだと気がつくことができました。
栄養士ってすごい!!!